恒星(太陽)が輝くのに、なぜ暗い?
疑問
子供の頃、夜空を見上げてこんな風に思ったことはありませんか?
「宇宙には、太陽みたいに自分で光る星(恒星)が数え切れないほどたくさんあるのに、なぜ夜空は真っ暗なんだろう?」
分かりやすく言うと、昼間が明るいのは、地球が「太陽」という星に照らされているからです。 でも、夜の宇宙に目を向けると、そこには太陽と同じように輝く星が、星団や銀河となって、数え切れないほどキラキラと輝いています。
それなら、宇宙全体が星の光で満ちて、夜も昼間のように明るくなってもおかしくないはずですよね。
それなのに、なぜ宇宙は真っ暗なのでしょうか……?
私が考えた「仮説」:宇宙が広すぎるから?
大人になる前、私はこう予想していました。
「宇宙が想像もつかないほど広くて、星と星の距離が離れすぎているからじゃないか?」と。
例えば、真っ暗な闇の中で、車のヘッドライトをすぐ近くで浴びたら、周りの景色まで明るく見えますよね。
ライトを10台、20台と増やせば、さらに明るくなります。
でも、そのライトの集団から数キロメートルも離れてしまうと、遠くでライトが光っているのは見えても、自分の周りは真っ暗なままです。
宇宙もこれと同じ状態であまりにも広いからなのではないか、と思ったのです。
さらに、光の「反射」も関係していると考えました。 地球の夜でも、懐中電灯の光が通り過ぎるのが横から見えることがありますよね。あれは、空気中のチリやホコリに光が当たって、はね返っている(反射している)からです。部屋の電気が明るいのも、壁や天井が光を乱反射させて部屋全体に広げているからです。
しかし、宇宙はほぼ「何もない空間」です。 光はまっすぐ進むだけで、はね返る壁もなければ、空気もチリもほとんどありません。 だから、星の光はただ通り過ぎるだけで、私たちの目には「真っ暗」に見えるのではないか……。そんな風に考えていました。
科学がだした「答え」:宇宙は〇〇していた!
オルバースのパラドックス
大人になり、ネットなどで色々と調べられるようになって驚きました。
実は、この「宇宙は星がいっぱいあるのに、なぜ暗いの?」という疑問は、昔から天文学者を悩ませてきた大問題で、「オルバースのパラドックス」という名前までついていたのです。
もし宇宙が「無限に広くて、昔からずっと存在している」なら、夜空のどこを見ても必ずどこかの星の表面にぶつかるため、夜空は太陽のように輝き明るいはずです。
それなのに、なぜ真っ暗なのか?
現代の天文学がたどり着いた結論は、
「宇宙には始まりがあり、しかも今も広がり続けている(膨張している)から」でした。
理由①:宇宙の年齢は「有限」だから(まだ光が届いていない)
宇宙は今から約138億年前、圧縮され超高温・高密度の点が大爆発して生まれました。
これが有名な「ビッグバン」です。
つまり、宇宙には約138億年という「歴史の長さ(寿命)」があります。
そのため、私たちはどんなに遠くを見ても、138億年かけて光が届く範囲(※空間が膨張しているため、現在の距離で約465億光年先まで)の星しか見ることができません。
宇宙は想像以上に広大で、星の寿命も限られているため、その広い空間を光で満たすには、
圧倒的に星の数(光の量)が足りないのです。
※〔〇〇億年は時間(期間)、○○億光年は距離の単位〕
理由②:宇宙が膨張して、光が「変化」しているから
宇宙の膨張
さらに面白いのが、天文学者ハッブルが発見した「宇宙の膨張」です。
宇宙は風船のように今も膨らみ続けており、遠くの星ほど、猛烈なスピードで地球から遠ざかっています。
宇宙が広がるスピードについて、イメージしやすいように「風船」を使って考えてみましょう。
膨らませる前の風船に、マジックで1センチ間隔の点を
「地球君・A星君・B星くん・C星さん」と横一列に4つ書きます。
[ 地球君 ] –1cm– [ A星君 ] –1cm– [ B星くん ] –1cm– [ C星さん ]
ここから、風船をギューッと一気に膨らませて、
すべての1センチの間隔が、1秒間で「3センチ」に伸びたとします。
地球君から
・隣のA星君は、1センチから3センチになったので、1秒間で2センチ遠ざかりました。
・その隣のB星くんは、2センチから6センチになったので、1秒間で4センチ遠ざかりました。
・一番遠いC星さんは、3センチから9センチになったので、なんと1秒間で6センチも遠ざかったことになります!
全員が同じゴムの上にいるのに、「自分から遠い人ほど、ものすごい猛スピードで遠ざかる」という不思議な現象が起きました。
これと同じことが、実際の宇宙でも起きています。
宇宙という風船が膨らむと、地球から離れれば離れるほど、星が遠ざかるスピードはどんどん跳ね上がっていきます。
そして、今の技術で見えるギリギリの遠さ(465億光年先)まで行くと、
その引き伸ばされるスピードは、ついに「光の速さ(秒速30万キロ)」さえも超えてしまうのです。
光の変化
ドップラー効果という言葉を聞いた事があるでしょうか。
救急車が近づいてくる時は、音の波が短く高く聞こえ、遠ざかるとき、音の波が伸びて音が低く聞こえる現象。
これと同じことが、膨張して遠ざかる星の「光の波」でも起きています。
光の波がビヨーンと引き伸ばされると波長が伸び、光の色は「青 → 赤」へと変わっていきます(これを赤方偏移といいます)。
そして、宇宙の膨張スピードがあまりに速いため、光の波がさらに伸び、人間の目には見えない「赤外線」や「電波」という光に変化してしまっているのです。
実際、高性能な電波望遠鏡で宇宙を見ると、ビッグバンの名残の光(宇宙マイクロ波背景放射)が宇宙全体に満ちていて、ある意味では「輝いて」見えます。
ただ、人間の目には見えない「赤外線」や「電波」になってしまっているため、私たちは「真っ暗」だと感じているわけです。
結論
「宇宙には無限に星がある」と思われがちですが、実は宇宙に始まりがある以上、私たちが今観測可能な星の光は、現在の距離にして「約465億光年」という限られたエリアのぶんだけです。
これは、宇宙の年齢は約138億年だが、約465億光年というのは、光が進んでいる間にも宇宙は膨張し続けているためです。
さらに星にも寿命があるため、私たちが観測できる範囲の星の数は決して無限ではありません。
その上、宇宙空間そのものが膨張し、遠方からの光も人間の目には見えない姿(赤方偏移)に変わっている……。
だから、果てしなく広い宇宙空間は、人間の目で見ると「星の光がスカスカな、真っ暗な世界」に見えるのです。
簡単にいうと
宇宙は約138億年前に始まったという「年齢」があり、宇宙は広がり続け、その中で星は生まれたり死んだりして「寿命」ある。
さらに遠くの天体の光はまだ届いていない、あるいは永遠に届かないものもある。
そのため夜空は星の光で埋め尽くされないということ。
よくあるブラックホール説や宇宙空間の塵が光を吸収する説などもあったようですが、
今の天文学ではオルバースのパラドックスの答えではないという事です。
子供の頃にふと感じた「なぜ?」は、宇宙の誕生や空間の歪みにつながる、天文学の歴史をひっくり返すほど深いギモンだったのでした。

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