春夏ダブル三角と秋四辺形
春と夏の大三角
梅雨が明け始める7月下旬、日が暮れて夜空を見渡すと西の空と東の空に季節を代表する2つの大きな三角形を見ることができます。
西の空には、しし座のデネボラ(2等星)、うしかい座のアルクトゥールス(1等星)、おとめ座のスピカ(1等星)を結んだ「春の大三角」。
一方、東の空には、こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイルの3つの1等星を結んだ有名な「夏の大三角」です。
なお、しし座の1等星レグルスを結んだ三角形を紹介する資料もありますが、日本では一般的にしし座の尻尾にある2等星のデネボラを使った三角形が「春の大三角」と呼ばれています。


7月下旬の20時00分から21時頃になると、西の空では春の大三角が地平線へ傾き始め、
東の空では天の川とともに夏の大三角が美しく輝きます。
星の見え方は、観察されている地域(緯度)によって少し変わります。
例えば、北緯約26°の沖縄(那覇)では、20時を過ぎると、しし座のレグルスは地平線に沈んで行きますが、デネボラなら21時近くまで見えるので、春の大三角は西の地平線近くに見ることができます。
一方、北緯約43°の北海道(札幌)では、春の大三角は沖縄より高い位置に見えるため、より観察しやすくなります。
いずれにせよ、西の地平線から東の空まで遮るものがない海岸や、山頂のような地平線から空全体が見渡せる場所がベストです。
頭の真上(天頂)を通るように、北から南へ1本の線を引いて夜空を東西半分に分けてみてください。
東側と西側にそれぞれ巨大な三角形が浮かび上がる、この時期だけの「春夏の大三角」をぜひ体験してほしいです。
秋の四辺形
夜が更けていくと、夜空の主役がさらに移り変わります。
西の空では、しし座のレグルスが地平線へと沈んでいく頃、「春の大三角」は地平線近くにあります。
夜空の真ん中を南北に貫く天の川の中に「夏の大三角」が高くのぼり、
さらに東の地平線からは「秋の四辺形(ペガスス座の四辺形)」が姿を現します。
つまり条件が良ければ、
- 春の大三角
- 夏の大三角
- 秋の四辺形
という、春・夏・秋を代表する3つの星の並びを同じ夜空で楽しめるのです。

場所も時間帯もシビア
ただし、この光景を見るには、西と東の地平線まで見渡せる場所が欠かせません。
建物や山などで視界が遮られると、西の春の大三角か東の秋の四辺形が見えなくなってしまいます。
しかも地平線近くまで光害の少ないベストポイントが必要です。
また、このような条件で観察できる期間は長くありません。
一般的には7月下旬頃から8月中旬頃で、北の地域ほど有利です。
北海道など北日本では条件が良ければ8月中旬頃まで楽しめる可能性があります。
時間帯も、沖縄では、7月下旬21時30分前後~8月上旬だと20時30分頃。
逆に北海道では、7月下旬21時30分前後~8月中旬頃の20時前後。
ただ北海道ではしし座のデネボラもおとめ座のスピカも地平線に沿うように低い位置になります。
那覇や石垣島では、夜空に西のしし座全体と東のペガスス座全体を同時に見ることは不可能です。
ししの頭から胴体が地平線に隠れ、最後に地平線に沈む大三角の一角に当たる尻尾のデネボラがギリギリ見えている時間帯に、東の地平線にペガスス座の四辺形が昇ってくるというわずかな時間帯だけです。
“奇跡”?~3つの幾何学模様~
本来なら交わらないはずの異なる季節の星座が、一瞬だけ同じ夜空に融合するスケールの大きさ。
それはまさに、「めぐる季節の空に浮かび上がる、春と夏の三角形、そして秋の四角形が、夜空のキャンバスに描くひとときの幾何学模様」と言えるでしょう。
自宅の近くに空が広く見える場所がある人はもちろん、夏休みの旅行などで星がきれいに見える場所へ行く機会があれば、ぜひ探してみてください!
春・夏・秋を代表する3つの幾何学模様が、ほんのひとときだけ同じ夜空に集う、まるで奇跡のような光景を…。
※もし夏の旅行で日本を離れ、カナダやイギリス北部、デンマーク等(北緯55°前後)に行かれる機会があれば、ぜひこの奇跡のようなコラボを探してみてください。






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