天体望遠鏡購入、選び方
星に興味を持ちだすと双眼鏡や天体望遠鏡が欲しくなってくるでしょう
星座を観るだけでも楽しめるのですが、彗星や惑星、星雲や星団、二重星、月のクレーター
太陽黒点など肉眼では見えない数々の宇宙がまだまだあり、それを見たいと思う気持ちが大きくなった時、そのための機材として双眼鏡や天体望遠鏡が欲しくなってきます
今回は天体望遠鏡の選び方
天体望遠鏡の種類
天体望遠鏡の種類として大きく分けると
- 屈折式天体望遠鏡
- 反射式天体望遠鏡
この二種類があります
屈折式天体望遠鏡のメリットとデメリット
メリット
- 対物レンズで光を集め、接眼レンズで拡大するものなので初心者でも使いやすい
- 本体が密閉されあ、ほこりや湿気が入り難く、メンテナンスが少なくて済む
- 反射のように鏡を使わないため、衝撃などで光軸が狂いにくい
- コントラストが高く、シャープな像を得られ細部までクッキリ見える傾向がある
- 小型のものは手軽で取り扱いが簡単
- 鏡に比べ熱容量が小さく、屋外に持ち出して冷却待ちをせずにすぐに観察可能
デメリット
- 安い対物レンズの場合、光の波長ごとに焦点がズレ明るい星に赤や青のにじみ出るという色収差の問題がある
- 大口径となるとレンズは分厚く重くなり全体的に大きくなって、それを支える架台も大きくなる
- 反射望遠鏡に比べ、大口径を求めるとはるかに高価なものになる
- 長焦点タイプが多く、視野の広い星雲、星団観測に向かないタイプもある
プラスアルファとして
屈折式の中でも方式やレンズの違いがあります
通常屈折望遠鏡のレンズはアクロマートが使用されていることが多いですが、色収差を低減するためにアポクロマートレンズを使用される場合もあります
ただこのレンズは非常に高価な物になります
反射式天体望遠鏡のメリットとデメリット
メリット
- 鏡を使って反射させるので大口径を作成し易い
- レンズより鏡は軽量ですので口径の割には全体的に軽くなる
- 鏡は波長による屈折率が変わらず色収差(赤や青のにじみ)がない
- コストパフォーマンスが高く、口径15cm~20cmでも手ごろな価格で購入できる
- 大口径で集光力が高く、色収差も無いので淡い光の星雲、星団の観測に有利
デメリット
- 光軸調整が必要になる(主鏡や副鏡がズレる)
- 反射鏡にほこりやカビ、酸化により劣化するのでメンテナンスが必要
- 光が筒内を往復する構造のため筒内気流の影響で像が揺れて見えることがある
- 反射望遠鏡は、主鏡で光を集め副鏡で光を横に曲げて接眼レンズに導くが、
この副鏡や支える支柱が光の一部をさえぎる(遮蔽する)ため光の一部が届かなくなり
像ににじみが出てコントラストが落ちる(光の回折)
つまり暗い所と明るい所の差がはっきりしないので、惑星(木星など)の細かな縞などがはっきりと見えない場合がある
反射式天体望遠鏡の中での種類
反射望遠鏡の中でもより効果的に光(星)をとらえるために方式の違う物や改良されたものもあります
ニュートン式
ニュートン式は大きな凹面主鏡で光を集めて鏡筒の横から覗けるよう
鏡筒内の副鏡で直角に曲げて接眼レンズに光を導くので構造がシンプルで大口径化しやすい
色収差が無く星雲、星団観測には良い
ただカセグレン式と比べれば焦点距離に比例して鏡筒が長くなる
シンプルな分、安価で大口径を手に入れやす
カセグレン式
カセグレン式は取り込んだ光を凹面主鏡で反射、その光軸上に凸面の副鏡があり、再び光を主鏡中央の開口部より接眼レンズに導くので焦点距離を長く取れる
鏡筒を短くても長焦点距離が可能なのでコンパクトで持ち運びしやすい
横から覗くニュートン式に比べ、光路が直線的で主鏡と副鏡が鏡筒の軸上にあるので光軸のずれが起きにくく光学的に安定している
ただ逆に副鏡が主鏡からの光の一部を遮るためコントラストが低下するデメリットがある
プラスアルファとして
さらにカセグレン式から派生して
カタディオプトリック式
レンズと鏡を使ったハイブリット型
レンズと鏡の両方を使用して集光と収差補正を行う方式
メンテナンス難易度はニュートン式より低く楽
シュミットカセグレン式とマクストフカセグレン式
シュミットカセグレン式
球面主鏡と双曲面副鏡をシュミット補正板として収差を補正
大口径、コンパクトで持ち運びやすい
レンズを使うため複雑で鏡だけのニュートン式より若干重くなる
補正板は高精度で加工が難しく製造コストが高くなる
マクストフカセグレンカセグレン式
主鏡と副鏡を球面鏡とし、補正板に分厚いメニスカスレンズ(球面収差や色収差を抑える)を使用
収差がほぼなくシャープ、副鏡が補正板と一体化しており光軸がズレにくくコンパクト
メニスカスレンズ補正板が分厚いため、重くなり外気温に馴染むまで時間がかかる場合がある
まとめ
屈折式望遠鏡はメンテナンスがほぼ必要なく、初心者でも操作しやすく扱いやすい
反面大きな口径を求めると高価になり、またレンズを使用しているため重く、色収差(色のにじみ)が発生しやすい
惑星や月のクレーター観測ではコントラストが良いので観測しやすい
反射式望遠鏡は大口径を手ごろな価格で手に入れることができ、大口径であっても屈折式と比べて軽く色収差がないので星雲や星団観測にはメリットがある
反面初心者では難しい光軸調整や反射鏡のメンテナンスも必要となる
反射望遠鏡の中でもニュートン式反射望遠鏡は割とコントラストは高い
反射式望遠鏡の種類によっても若干違うメリットとデメリットがある
カタディオプトリック(ハイブリット型)
ニュートン式よりメンテナンス頻度少なく総合的に使いやすさがある
ニュートン式より同じ焦点距離でも鏡筒が短くなりコンパクト
ニュートン式より補正板、レンズを使用するため重くなる
ニュートン式よりコントラストは劣る
以上、天体望遠鏡選択のひとつとして、望遠鏡の方式から考慮したものです
それぞれにメリット、デメリットがありますので選択時のひとつとして下さい
あなたが一番観たい対象物、その事を念頭においてその対象物を見るためにはどの部分が必要で譲れないかを考えて選んでください