冬の星座が西に沈む頃に夏の星座が東の地平線から顔をのぞかせる季節
6月中旬には春の星座が南天から西に向かい、北の北斗七星(おおくま座)は柄杓(ひしゃく)で水平線から海水をすくい取るが如く下向きに沈んでいく~7月から8月夏の星座の季節に移り変わって行きます
さそり座
夏のS字星座
7月中旬頃、夏の夜空に大きなS字の星座としてさそり座が見えます
ちょうどその中心、さそりの心臓辺りに赤く輝く1等星のアンタレスが美しく輝きます
東北から北海道の人には割と南の空、地平線近く、天の川に横たわるS字に見えるでしょう
逆に鹿児島や沖縄では南の空30度から40度の高さに美しいS字姿のサソリを見る事が出来るでしょう
それは、さそり座が1等星α星アンタレスと5つの2等星を含む大きなS字の星座なので見つけ易いと思います
夏の夜空に赤く輝く星
1等星のアンタレスは太陽の700倍もある赤色超巨星で年老いた表面温度が低く3500度程度しかないのです
ちなみに太陽の表面温度は約6000度、中心温度は約1500万度になります
アンタレスとは「火星と拮抗する星」と言う意味でもあり火星とライバルような関係です
それは横道から5度以内に位置する1等星であるので、近くを惑星である火星が通過する時もありどちらも赤く輝いているからです
(黄道とは、地球の公転により太陽が年周運動で天球上を移動する際に通る道としたものです)

真っ暗な夜道の南の空に私も初めてさそり座を見たときはその雄大なサソリの姿に驚かされました
その心臓部に輝く赤い1等星アンタレス
きっと皆さまもこの夏の夜空に輝くS字を見付けた時は感動間違いなしです
オリオン座との関わり
さそり座は夏の星座、対してオリオン座は冬の星座
普通で考えれば「なぜさそり座とオリオン座が関係あるの?」と思われるでしょう
このさそりが夜空に居る時はオリオンは現れず
さそりが西の空に沈み居なくなる季節になると東の空からオリオンは現れる
この天空の動きが正にギリシャ神話に表わされています
オリオンとサソリのギリシャ神話
オリオンは巨人であり、狩猟の腕も非常に高い狩人で、海神ポセイドンの息子です。
オリオンは大きい獲物を捕まえるのも上手く、それだけなら良かったのですが、そのうち自分の狩りの腕を自慢するようになりました
このことに怒りを覚えたのはギリシャ神話の主神であるゼウスの妻女神ヘーラー(ヘラ)です
ヘーラーは、「神々が大地に与えた獣を狩猟し自分の力を誇示するオリオンとは傲慢な奴」とオリオンをこらしめるために大きなサソリを放ちました。
サソリの毒はとても強く、流石の巨人オリオンも毒には勝てず命を落としたのです
ギリシャ神話としてはヘーラー(ヘラ)でなく、ガイアのバージョンもあります
また別のバージョンとしては、月の女神アルテミスは狩猟の神であり、オリオンと仲良く狩りを楽しんでいたが双子の兄である太陽神アポロンはそのことを余り良く思っていませんでした
そこでオリオンが海から頭を出したところを偽の的として罠をかけ、狩猟の神であるアルテミスに弓矢で射させ命中、オリオンは命を落とす事となると言う説もあります
さそりとオリオンが星座へ
いずれにせよオリオンが亡くなりアルテミスは悲しみに暮れる中、ゼウスに頼み込みオリオンを星座として夜空にあげてもらったのです
またオリオンを倒した毒サソリはその功績を称えられ夜空のさそり座となりました
これが、オリオン座とさそり座のギリシャ神話です
このオリオンがサソリの毒に倒れたことでオリオンはサソリを嫌い、さそり座が東の空から現れる夏の季節になるとオリオン座は西の地平線に沈み、さそり座が西の夜空から地平線に沈み姿を消す冬の季節になると今度はオリオン座が東の空から姿を現すと言う天空の動きとなっているのです
このように少しギリシャ神話も含めて星座散歩をしてみると年間を通して更に楽しく思える事でしょう
夏、東から南の空に進むさそり座を見つめ、秋から冬に西の空から姿を消すさそり座を見送った後、東の空から昇って来るオリオン座を見つめて星座を楽しみ、そしてワクワクして下さい